Buyer's Guide

これから手に入れようとする前に…


 

さまざまなきっかけで、これからMGBを手に入れられるかたもいらっしゃるかと思います。
街でMGBが通り過ぎる姿をふと見かけて… 映画のワンシーンで… 雑誌のヒトコマ…
今までずっと欲しいと思っていたけど、なかなか手が出せなかった…

あるいは、MGB on the WEBに載せられた写真や文を見て…(だと、とてもうれしいな!)

しかし、1980年10月にに生産を終了したMGBはもはや中古車でしか手に入れることはできません。しかも、当時の製造会社のBL Cars(British Laland)、その前はBMC が吸収合併され、当時の日本法人の解散以来 久しくなりました。
このページは、数多くのオーナーの方からいただいた情報をもとに、これからMGBを手に入れるにあたってのアドバイスを記しました。

排気量1.8リッターのMGBは日本では人気が低く、中古車市場での価格もかなり安くなっています。雑誌では、心情的スポーツカーなどと書かれ(笑)。どちらかと言うとMidgetの方が人気があるようです。バブル経済下で多数のMGBが海外から輸入されました。当時不人気ながらもそれなりに高価格だったRB(Rubber Bumper)車などはゴミ扱いです。
しかし、逆にとらえれば、MGBを安価に手に入れるチャンスともいえるわけです。性能的には現在生産されているクルマと比較すると劣るのはしかたありませんし、ブランドイメージも希薄ですが、上品なたたずまいは、最後の伝統的スポーツカーと謳われた新車で発売されていた当時と変わりありません。
クルマの性格からも、外観が大人しければ大人しく乗られていたケースが多く、極端に程度の悪いものは少ないようです。MGBのたたずまいが気に入った方でしたら、きっとよいお買い物ができることでしょう。

 

台数 20年以上も経っていますし、インポーターやディラー網が瓦解しているので、アプルーブドカーというものは存在しません。保証もありません。かつてBLカーズ日本法人と正規代理店契約を結んでいた販売会社や、ディラーで懐かしまれることくらいはあるかもしれませんが・・
いわゆる英国中古車専門店で売られるケースが多いですが、良いタマは少ないです。当時からの正規輸入物、その後からバブル期に輸入された物等を併せて、現在では2000台以下の生息数であろうと言われています。
また初期型のMk1で状態の良いものや、MGC(6気筒)やV8などの車両は、そのほとんどがクラブメンバーなどの知己の間で売買されているとの
噂も聞きます。
最近はインターネットでのオークションも盛んになっていますので、活用すると格安に手に入れることが可能かもしれませんが、ある程度の修理を自分でしたり、信頼出来るショップ探しから始めるべきでしょう。

価格

中古車の価格は常に変動しており、またそのクルマの状態により価格は上下しますので、ズバリいくらだということはいえません。ただ、相場としてはR/B(Rubber Bumper)の価格は低く、1963年辺りのMk1や、希少モデルのMGCなどが高価なのは確実です。実際のところ、V8やC以外では。弟分の Midgetの同年式と比べてもあまり変わらないのではないでしょうか?
余談ですが、売るときの査定額は、「ビンテージ」英車専門店等以外ではゼロに等しいほどの安さです。
ブリティッシュ・レーシング・グリーン(BRG)やレッドといった色が流通台数の多くを占めているでしょう。なにかの折りにBRGに塗り替えた車も多いようです。また、内装は、オリジナルのボディカラーによって何種類かバリエーションがあります。
例えば、R/Bの緑では内装はベージュの組み合わせ、所有してみるとわかるのですが、結構に汚れが目立ちます。濃色のボディは雨が降ると跡が残りやすく、ベージュの内装も、シートは汚れやすいです。オープン時にモロに入ってくる排気ガスや、ジーンズの染料も汚れとなる原因です。
台数は少ないですが、OEW(オールドイングリッシュホワイト)や、水色、黒などもシックです。また70年代前半モデルや、R/Bでは、青やマルーンなどもあります。
キズ もはやオリジナルの塗装というのは、かなり少ないと思います。一度は部分補修や塗り替えが入っているでしょう。ボディの見切が良く、こすったという話は聞きません。車幅も狭く、狭い駐車升でも隣のドアに、とうことは滅多にありません(^^;。
気になるようでしたら、全塗装済みを買うのがいちばんかもしれません…

ボディ

基本は出はじめのモノコックで、オープンボディの剛性も低く、へたり・たわみを強く感じることでしょう。ただ、クルマの性格上、「一般道では」酷使されたがゆえのヤレがあるものは少ないはずです。こればかりは、実際にそのクルマに乗って確かめてください。サーキット走行など多用の車は、ちょっと心配です。
錆が多い物や、サイドシルに錆穴が出ている個体は避けましょう。後から泣きます。エンジンフード(ボンネット)は、前期型はアルミ合金製です。非常に入手が難しいので、確認してください。
エンジンまわり・
トランスミッション
エンジンは基本的にタフな伝統のOHV同じですが、英国車ではあたりまえのオイル漏れを起こしているものが多いです。(エンジンブロックというよりは補機廻りとか)この点では近年のガスケットキットなどを使ってOHしても起きることが多々あります。国産中古車を買うときの常識でチェックすればびっくりするかと思います。ある程度の物は許容するしかないでしょう。ただし、大量に漏るような物はXです。若干滲んでいるかな、程度にして置きましょう。漏れの無い車も多くありますので、漏れていないのが理想です。水漏れはXです。
ミッションですが、タッチが良く、引っかかり感はありません。(あれば要修理でしょう) 最初期型は1stギアにシンクロがありませんが、以外と問題にならないようです。リバースは、ノンシンクロ故入りづらいですが、あまりXな物はやめましょう。
中期型にはたまに、R/Bでは標準で電磁バルブと油圧制御のオーバードライブ機構が付いていますが、壊れたり作動していない物も多々あるようです。修理は高価ですので、きちんと確認したい所です。(フォード製やトヨタ製MTに交換するキットもありますが。)ATは、希少で日本では、なかなかお目にかからないようです

幌は消耗品的な所もありますが、大切に乗っていたオウナーの幌は綺麗です。張替には5万円程度でよさそうですが、幌骨は変形していない物を選びましょう。最前期型の組み立て式幌は、きちんと組み立てを確認しましょう。
また、希に純正ハードトップが付いている個体もありますが、貴重です。後からハードトップだけを買うのは送料も高く、厳しい物があります

サスペンション

MGBの欠点?でもあるリアのリーフ(板)バネも、寿命があります。真後ろから見て、左右どちらかへの傾きが大きいのは避けましょう。レバー式というクラッシックなダンパーも、OHが必要な物が多いですのでご注意を。まあ、両者とも、交換する覚悟込みというのもありです。ついでに車高下げて、サスはちょい固めに・・。

オーディオ

日本仕様には、初期型にはオプションでラジオ、後期型には1DINサイズのクラリオン製などのAM/FMチューナー付カセットデッキが装着されていましたが、交換されているケースが多いようです。RB時代のクラリオン製ですら修理不能です(^^;・・
交換したり、当初装着されていなかった場合、ナビシート側のダッシュボード下に吊り下げていることも多いようです。
R/Bのドアマウントスピーカーはクオリティが低く、走行中はエンジン音や風切り音なども多く、殆ど聞こえません・・・シート後ろにスピーカーを置いていることも多いようです。専門ショップなどで相談して自分好みに仕立てるのをお勧めしますが、接続キットなど当然無いので、手間暇コストはかかるでしょう。
シートバックにラジカセ、というのもありですよね。ドライブ先でも使えるし。

キー

中/後期型は、盗難防止用にハンドルロックがかかります。
イグニッション、ドア/トランク(ブートリッド)、グローブボックスの3つがセット、さらにアンテナが完全に引っ込むタイプですと、アンテナ用のキー、
そしてフューエルキャップがキー付きなら計5個のキーが必要です。後期R/Bのキャップはいすゞ製ですが、スペアキーや、ブランクキーは欠品ですので、大切にしてください。鍵専門店では、とりあえず使えるスペアキーにはしてくれますが。

パーツ供給

基本的に、当時のインポーターが無いので、何社かある輸入車部品問屋を通し、直販か地方の英国車屋を通して買うことになります。ですが、オイルフィルターや、電球など旧ローバーディラーで入手可能なものもあります。
輸入車部品問屋を当たっても在庫が無い物もたまにありますが、その際はネット上でセキュアサーバーを使って購入できるショップが英米にありますので心配要りません。
結構色々なアフターパーツも出ておりチユーニングも存分に出来ます。

整備・修理

MGBにとっていちばん必要なのが、このクルマをメンテナンスしてくれる修理屋さんがあるかどうかです。
東京では沢山の英国車屋/旧車屋がありますので、困ることは無いかと思います。また、一部分を除いて単純な車なので、年配のメカや、国産旧車をいじる若いメカなら大丈夫でしょう。(一応、整備マニュアル等は用意を・・)

個人売買やネットで買ったMGBを、近所の工場に持ち込んでも、一見の客を快く迎えてくれるかどうかはわかりません。
あらかじめ確保しておきましょう。また、英車専門店の看板を上げてあっても、雑誌に記事が出ていても、きちんと整備できてるとは限らないのは難しいところです。パーツも利益の一部なので、結構乗せて来たりするところも・・

いちばんリーズナブルなのは、信頼できる街中の修理工場と仲良くなることではないでしょうか。繰り返し述べていますが、基本的には単純な車ですので、(ほぼ)特殊な技術は要求されません。また、修理工場によっては「オーナーの責任において」自分で部品を発注してくれ〜 と、「逆に」言われるところもあります。
まず、足車を持ち込んで、MGBっていう古い車なんだけど、そっちも見てくれる?と聞くのも手の一つでしょう。

【結論】「MGBは、フツーのクルマである。

MGBは、BMCグループのコンポーネンツを多く使うことにより、イギリス車としてお馴染みの、ほどほど故障するクルマです。
MGBは、メンテナンス・フリーではありません。最近の英国車に比べればかなりの「鬼門」と呼ぶべき故障しやすい箇所が存在しています。万が一の際に面倒を見てくれる、信頼のおける主治医を見つけれれば、MGBはあなたの傍らで当分活躍することができます。

おもなマーケットが米国市場という存在のため、部品は英国だけでなく米国からも潤沢に購入することが出来ます。左右で違う部品はしょうがないですが、英国よりも米国の方がフレンドリーで買い物もしやすいでしょう。自分で部品を発注すれば、イヤでも車の仕組みが判りますので、一石二鳥です。英語力も向上しますしね。信頼のおける主治医を見つけるのは思った以上になかなか困難ですが、MGB on the WEBが少しでもお役に立てれば幸いです。