「岩ぞう」シリーズ
「MGBの異音・・・カタン!」

MGBで走っていると屋根が無いせいなのか、エンジン音が喧しい割には様々な音が聞こえてきますねぇ。それが聞き慣れた音だったら心配もしないのですけれど、実に嫌らしく耳へ響く音もあったりします。もっとマズイのは、買ったときから聞こえていた音だから・・・と安心していたら、悪くすると大きな修理費用に度肝を抜かれることもあったりしてね。恐いですねー。


ところで、クルマ後部から聞こえてくる異音。走っているクルマに乗って耳を澄ますと、どうしても後ろから聞こえてくるような気がするワケですが、一応、それを疑ってみましょうか。
センターロック式のワイヤーホイールを履いているとスピンナーの緩みはあるみたいです。
「6角スピンナー」と専用レンチを用いる場合はハンマーの力を伝えやすいのでマシなのですけれど、同じスピンナーでも「耳付きスピンナー」で固定しているなら、まったく手が痛くなるほどの力を用いてハンマーでブッ叩かねばならんのですね。しかもハブに近い箇所にめがけて重いハンマーを振り下ろす次第ですから、アッシャ幾度MGBのホイールアーチを殴ったことか・・・(;_;)。
それで音が止めば幸運。増し締めを施したに過ぎません。もしも、それでも、ストップ&ゴーの際に「カタン!」と音が聞こえるなら、嗚呼、不運。

さて、ここで留意すべき点が二つあります。

●ロッキング・スピンナーの緩み
一つはセンターロック・ハブのスプライン摩耗。あるいは、ホイールのハブ・スプライン摩耗。微妙なテーパー状のスプラインは、本来、スピンナーを締め込むと合致し、固定する仕掛けです。ところが経年によってスプラインは摩耗してしまい(溝を象っている凸部が痩せる状態)、スピンナーを締め込んでも僅かな隙間が生まれるようです。
手で揺り動かしても判別できないような隙間ですけれど、クルマのトラクションをモロに受けるスプラインですから、双方のスプラインの接触面積が少なくなれば、実走行時に現れるという仕組みですね。
余談になりますが、ハブベアリングも疑う余地があります(^^;。この場合も手で点検したのでは判らないことのほうが多いようで、走行中の「ゴーッ」という音が目安でしょうか。
いずれにしても、甚だしいガタツキが現れていたら、そりゃ重傷ということに違いありませんが・・・(^^;。
●ナイロック・ナット
二つめは、リアアクスルの固定に関する問題。
MGBのリアアクスルは、左右のリーフスプリングに対して垂直にU字ボルトで固定されています。リーフスプリングは前端をアイブッシュで、後端にはシャックルを介して、シャシーに吊り下げられている、コンベンショナルな構造ですね。
これらのいずれかが緩めば異音は出ますし、もしも外れたら、タイヤとクルマが別々に走るような、いうなればトムとジェリー状態になってしまいます(^^;。
くだらぬ話はよいとして、アイブッシュ部やシャックル部に用いられているボルトは 9/16"や 3/4"という比較的大きなモノなので、スプリング・ワッシャーを介して締め付けておく限りには、緩むことは稀です。
しかし、U字ボルトは、リーフスプリングの左右2箇所でアクスル・ケースを挟み、ロア・ブラケットを介してナットで固定されます。コレがミソ。このミソのナットは 1/2"ですから、本来、サスペンションに用いるには少々役不足の寸法のようです。
さらに、ここへ用いられるナットは、まれに「ナイロック・ナット」というスプリング・ワッシャーを必要としないお手軽ナットが見られます。
「ナイロック・ナット」は、ナットの上側 1/3くらいに特殊ナイロンを仕込んだ代物で、最初に締め込んだときにナイロン部が削られ、緩み止め・・・すなわちスプリング・ワッシャーの代役を果たす、便利なナット。けれども一度ナイロン部に溝が切れたら、つまり一度使ってしまったら再利用が利かない、いわば使い捨てナットでもあるのですね。


もしも「ナイロック・・・」が再利用されていたら、様々な振動やトルクでU字ボルトが僅かに緩んでしまいます。
リーフスプリングは、中心部辺りで大小のリーフを固定するために貫通ボルトが通されていて、アクスル・ケースの穴に嵌合するようになっていますが、件のU字ボルトが緩むと、走行時の振動で「カタン!」と音を立てます。
一度使った「ナイロック・・・」を再利用するなら、改めてスプリング・ワッシャーを併用すると良いかも知れません。が、ボルト&ナットの接触面積は普通のナットより少ないので、強度は劣りますし、細かくは規定トルクも異なるはずです。

・・・・アッシのMGBにも、かつて同じような異音がしていたのですよ、はっはっは
(T_T)。

では では・・・・(^^)/

岩ぞう
岩国市
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