「岩ぞう」シリーズ
SU

早速専門用語・・・ミクスチュア?、ダンパーオイル?ここからスタートです。 ミクスチャーとは、キャブレターで作られる空気とガソリンの混合比率です。ガスが濃いとか薄いというアレ。


SU型のキャブレターの作動はご存じですか?。
SU型は別称「可変ベンチュリー型」と呼ばれ、空気を吸入するポートの面積=ベンチュリーが変動する形式の気化器なんです。VWなどに付いているソレックス・キャブは「固定ベンチュリー型」ですね。
エンジン回転が速くなると大量の空気を吸い込みますから、吸入空気の流速は速くなります。同様にエンジン回転が落ちると、流速も落ちますね。「固定ベンチュリー型」のキャブでは、だからアイドル・ジェット、メイン・ジェットなどと複数のジェットを設けて、スムーズな燃料供給をしているワケです。

SUキャブでは、たった一つのジェットで、全回転域をまかなう仕掛けになっています。そのためには、ジェット部を通過する空気の流速を一定にしなければ、ギクシャクとしてエンジンは回りません。そこで流速を保つために、「サクション・ピストン」という負圧ピストンが考えられました。
ある一定のエンジン回転数のときに、キャブのポート面積が小さければジェット部を通過する空気の流速が速くなり、反対に、ポート面積が大きくなったら流速は遅くなります。これを逆手にとれば、エンジン回転数=燃焼に要求される空気量の変化に応じて、ポート面積を変化させれば、ジェットを通過する空気の流速は一定に保つことが可能なワケですね(^^)。
(やっぱり長くなりそうです(^^;) さて、その「サクション・ピストン」は、ポートに入る空気の速さを利用した負圧ピストンです。大量の空気は吸い込まれるときには、大きな負圧が生まれ、ピストンは「グググ〜ッ」と引き上げられ、ポート面積を広げます。アイドリングのような低回転では、バネの力とピストン自重でピストンは下がって、ポート面積を小さくし、一定の流速を保ちます。
たとえば・・・・いま信号が青になって、アクセルペダルを「ドバッ」と踏んだとしましょう。キャブのスロットル・バタフライは急に開きますね。エンジンはアイドリングで回っていますから、一気に大量の空気が吸い込まれようとします。すると「サクション・ピストン」は『おお!、そんなら流速を保つために俺は一気に上昇しなければならん!』と、飛び上がってしまうのです。
しかし、エンジンの回転速度はアイドリング+チョイトでしょ。ですから空気の吸い過ぎになって失火します。つまり「サクション・ピストン」は、エンジン回転の上昇に合わせて、スムーズに上昇しなくてはならんのです。
そのために「サクション・ピストン」の軸部には「オイル・ダンパー」とバルブを設けて、ピストンの急上昇を防いでいます。仕掛けはサスペンションのオイル式ダンパーと同じような原理・・・バルブに開けられた極細オイル孔を通るときの抵抗を利用したモノですね。すなわち「サクション・ピストン」の制御をしているのが「オイル・ダンパー」に入れられた「ダンパー・オイル」なんです。
(もう少し・・・・)


「サクション・ピストン」の先端には「ニードル」というてテーパー状の針みたいなモノが取り付けられていて、これがジェットの穴に突っ込まれています。つまりジェット穴とニードルの隙間から燃料を噴出しているワケですね。
エンジンが高回転になるほど・・・・というより加速などの高回転に移行するときには濃い燃料が必要ですよね。「ニードル」が先端にいくほど細くなっているのは、「サクション・ピストン」の上昇と共に、ジェット穴との隙間面積を広くして、濃いガソリンを噴出するための仕掛けなんですよ。よく考えられていますよね(^^)。
60年代後半のSUキャブでは、フローティング・タイプ(浮動式)の「ニードル」が用いられています。これは「サクション・ピストン」のスタビリティ=安定器のような効果を持たせる仕掛け。
エンジンが空気を吸入するとき、各シリンダーの吸気バルブは1−3−4−2の順に開閉していますから、吸入される空気には細かな脈動が生じます。この脈動に合わせて「サクション・ピストン」がブルブルと震えるので、燃料の供給が不安定になってしまいます。この「震え」をバネでもって吸収してやろう、というのが「フローティング・ニードル」です。

ハァ・・・やっぱ長くなりました(^^;;スンマセン。SUキャブの仕掛けはこれだけじゃないのですけれど、ご覧になる方もお疲れでしょうからマタの機会にしませう m(_ _)m。
では では・・・・(^^)/


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